入れ歯選びの基礎知識
人生を左右する入れ歯の選び方【テレスコープ式とクラスプ式の入れ歯を徹底解説】
人生を左右する入れ歯(義歯)の選び方
テレスコープ式とクラスプ式入れ歯を徹底解説
ドイツは歯科医療の先進国として知られています。
その中でも特に注目を集めているのが、テレスコープ式の入れ歯(義歯)です。
クラスプ式とテレスコープ式の比較
この記事では、この革新的な入れ歯と、従来のクラスプ式の入れ歯との違いについて詳しく解説します。
クラスプ式の入れ歯は、失われた歯の隣の健康な歯を利用して固定する方式です。しかし、これは金属パネを用いて固定しますので、一部の歯に過度な負担がかかることがあり、また時間とともに緩みが生じやすいという欠点があります。
それに対し、テレスコープ式の入れ歯は、すべての残っている歯に適用でき、負担を均等に分散することができます。これにより、長期間安定した装着が可能となります。さらに、テレスコープ式の入れ歯の最大の特長は、外見上ほとんど目立たないことです。これは、口腔内の見た目を大きく改善し、利用者の自信を高めます。
テレスコープ式入れ歯(義歯)の例
https://www.youtube.com/shorts/QSEmWFr0s1E
テレスコープ式の入れ歯は硬い食べ物や噛み切りにくい食べ物にも対応できるため、食事の楽しみを大いに増やします。
初期投資はクラスプ式よりも高くなりますが、その高精度な設計と耐久性から長期的なコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。それはまさにドイツのことわざ、「安物買うほど金持ちではない」が示す通りです。つまり、最初に高品質なものを購入して長期間使用する方が、安価なものを何度も買い替えるよりも結果的に経済的であるという意味です。
さらに、安価な入れ歯と比較して、テレスコープ式入れ歯の使用感は格段に優れています。
100年以上の歴史を持つテレスコープ式の入れ歯は、絶えず改良が重ねられ、その信頼性と優れた性能は全世界から高い評価を受けています。
以上の特長から、テレスコープ式の入れ歯は「入れ歯選びは人生を決める重要な選択」とも言えます。健康な歯を維持することで一生涯の医療費を抑えることも可能であり、テレスコープ式の入れ歯はその選択肢の一つと言えるでしょう。
テレスコープ式入れ歯(義歯)の歴史と
日本の歯科医療技術の進歩
テレスコープの歴史について一緒に見ていきましょう。
テレスコープ式入れ歯は、1886年にアメリカの歯科医師スター・R・ウォルターによって考案され、ドイツをはじめとするヨーロッパでの研究により改良が加えられました。ここでは、テレスコープ式入れ歯の起源と、その進化について詳しく解説します。
テレスコープ(telescope)という言葉は、一般的に望遠鏡を指すものですが、その意味には「はめ込む」「めり込ませる」といったニュアンスも含まれます。実際、歯科医師のスター・R・ウォルターが開発した入れ歯は、残っている歯の上に入れ歯を「はめ込む」という方法で装着するため、この方式にちなんで「テレスコープ式」と名付けられました。この方式による入れ歯は、望遠鏡のように歯に密着し、安定した固定を実現します。
テレスコープ式入れ歯は、クラスプ式とは異なり、残存歯の上に入れ歯を密着させる方式です。この方法により、負担を均等に分散し、長期間の安定した装着を実現します。また、その外見上の自然さも特長であり、利用者の自信を高めます。
テレスコープ式入れ歯はさまざまな種類が存在します。代表的なものには、コーヌステレスコープ、レジリエンツテレスコープ、リーゲルテレスコープがあります。これらは、残存歯と入れ歯の密着方法に違いがあり、治療の適応に応じて選択されます。
日本では、1980年にテレスコープ式入れ歯が導入されましたが、当初は技術や適応症の判断に課題がありました。しかし、ドイツでの正統な製作方法や設計に基づくテレスコープシステムを紹介した稲葉繁氏(現・IPSG最高顧問)による啓蒙活動や教育の成果により、正しいテレスコープ式入れ歯の普及が進みました。
現在では、日本の歯科医療技術の向上や専門教育を受けた歯科医師の増加により、テレスコープ式入れ歯の信頼性が高まっています。正しい製作方法に基づくテレスコープ式入れ歯は、30年以上もの間、安定した結果を示しています。
テレスコープ式入れ歯の普及は、ドイツから日本への技術の伝播を通じて実現されました。その結果、日本でもテレスコープ式入れ歯が適切に活用され、入れ歯の治療の質と信頼性が向上しました。
以上のような背景から、テレスコープ式入れ歯は現代の入れ歯治療において重要な選択肢となっています。その進化と普及により、入れ歯の使用者はより快適で自然な噛み心地を得ることができるようになりました。
テレスコープ式入れ歯(義歯)のメリット
見た目に分かりにくく、安定した装着感を実現
テレスコープのメリットについて解説します。
- 見た目にわかりにくく、自然な外観を実現
- 硬いものを噛んでもズレやガタつきが少ない
- 口を大きく開けても外れにくいため、自然な口の動きや笑顔が可能
- 残っている歯にかかる力を均等に分散し、違和感が少ない
- 外科手術のような大がかりな治療が不要
テレスコープ式の入れ歯は、はめ込み式の入れ歯の一種で、パラレルテレスコープ、コーヌステレスコープ、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープ、アンカーバンドテレスコープなど、様々なタイプが存在します。
特にドイツでは、症状に合わせて適切なタイプを選択することが一般的ですが、コーヌステレスコープ、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープの3つのタイプがほとんどの症例に対応できます。
テレスコープ式の入れ歯の基本的な仕組みは、以下の通りです。
まず、残存している歯の表面を削り、内冠と呼ばれる金属カバーを被せます。
入れ歯の内側には外冠と呼ばれる部分があり、内冠は残存歯の形状に合わせて設計されています。入れ歯を残存歯にはめ込むことで、外冠と内冠が密着し、摩擦によって入れ歯が外れにくくなるのです。
このような仕組みにより、テレスコープ式の入れ歯は安定性を持ちながら、快適な装着感を実現します。
テレスコープの例(動画)
https://www.youtube.com/shorts/QSEmWFr0s1E
テレスコープ式の入れ歯は、見た目にわかりにくいクラスプ式の入れ歯とは異なり、外から見える部品がありません。クラスプは針金のような部品で、入れ歯を固定するために使用されます。一方、テレスコープ式の入れ歯は内冠と外冠の摩擦によって固定されるため、見た目が美しく、入れ歯であることがわかりにくいのが特徴です。
また、クラスプ式の入れ歯では、硬いものを噛むと金属バネがずれて入れ歯がガタつくことがあります。しかし、テレスコープ式の入れ歯は内冠と外冠の摩擦によって固定されているため、ズレやガタつきが少なく、硬いものでも快適に噛むことができます。
さらに、テレスコープ式の入れ歯は口を大きく開けても外れることがないため、自然な口の動きや笑顔が可能です。残っている歯にかかる力が均等に分散されるため、違和感が少ないのも魅力の一つです。
テレスコープ式の入れ歯と同様に、硬いものを噛むことができる治療法としてインプラントがあります。しかし、インプラント治療には外科手術が必要であり、人工歯根を埋め込むための負担があります。一方、テレスコープ式の入れ歯では外科手術は必要ありませんし、内冠の装着も通常の歯科診療と同様の負担しかかかりません。
そのため、手術が難しい方や骨の状態がインプラントに適さない方でも、テレスコープ式の入れ歯治療を受けることができます。
テレスコープ式入れ歯(義歯)の
デメリットと注意点
テレスコープのデメリットと注意点について解説します。
テレスコープ式の入れ歯には、いくつかのデメリットがあります。以下にそのデメリットをまとめました。
歯の削り込み
テレスコープ式の入れ歯では、残っている歯に内冠をかぶせて固定するため、健康な歯を削る必要があります。これにより、本来残しておきたい歯を削ることになり、心理的な抵抗感を感じることがあります。
歯の感度と虫歯リスク
歯を削ることにより、冷たいものへの感度が増したり、痛みを感じることがあります。また、エナメル質が削られるため、虫歯にかかりやすくなるリスクもあります。
高度な技術と時間
テレスコープ式の入れ歯の制作には高度な技術が必要であり、治療には時間がかかることがあります。
自費診療と治療費
日本では保険診療でのテレスコープ式の入れ歯は認められていませんので、自費診療となります。そのため、治療費が高額になる可能性があります。
修理や調整の手間
テレスコープ式の入れ歯では、土台となる歯の状態が変化した場合には修理や調整が必要になります。入れ歯の複雑な構造ゆえ、修理や調整には時間と手間がかかることがあります。
これらのデメリットから、テレスコープ式の入れ歯の治療はすべての歯科医院で提供されるわけではありません。治療を受ける前に、まず信頼できる歯科医院に相談し、自身の状況や治療の適応性を確認することが重要です。
専門の歯科医師との十分な相談を通じて、不明な点や疑問点を解消し、納得の上で治療を受けるようにしましょう。
テレスコープ式入れ歯(義歯)の費用
テレスコープ式の入れ歯治療は、健康保険の対象外となり、自費診療となります。
治療費は歯科医院によって異なりますが、一般的な目安として内冠の費用は1本あたり10~20万円、テレスコープ式入れ歯の本体は1本あたり20~30万円です。
ただし、これはあくまで目安であり、患者さまの口腔状況や歯科医院によってはより高額な治療費が必要となる場合もあります。具体的な費用については、歯科医院に直接相談して確認することが重要です。
テレスコープ式の入れ歯治療は費用が高額であるという事実は否定できませんが、その治療法の価値に応じて費用を検討することも大切です。入れ歯としての快適性や咬合の安定性を得られるため、多くの人にとって投資する価値のある治療法と言えるでしょう。
治療費の負担を軽減するためには、保険外の自費診療になることを踏まえ、治療前に予算や支払い方法について歯科医院と相談することがおすすめです。信頼できる歯科医師との十分なコミュニケーションを通じて、費用や治療に関する不明点を解消し、納得した上で治療を進めることが重要です。
また、テレスコープ式の入れ歯治療にかかる費用は高額ですが、治療費の心配事を解消する方法があります。銀行や信販会社が提供しているデンタルローンは、歯科治療専用の分割払いができます。
デンタルローンを利用することで、一括での支払いではなく、分割払いで治療費を支払うことができます。多くの歯科医院がデンタルローンを活用しているため、治療費の負担を軽減することができます。
もし治療費について悩んでいる場合は、信頼できる専門の歯科医院に相談してみましょう。デンタルローンの利用方法や手続きについて詳しく案内してくれるはずです。
デンタルローンを活用することで、治療費の一時的な負担を和らげながら、快適な入れ歯治療に取り組むことができます。安心して治療を進めるためにも、デンタルローンの活用を検討してみましょう。
テレスコープ式入れ歯(義歯)の種類
テレスコープ式入れ歯の種類について解説します。
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パラレルテレスコープ
パラレルテレスコープは、最初にウォルター医師によって開発された、テレスコープ式入れ歯の基本的な方法です。
この方法では、歯を削り円筒形の内冠を被せ、それにぴったりと合う外冠を被せることで入れ歯を固定します。内冠と外冠が平行に配置されるため、パラレルテレスコープと呼ばれています。
イメージとしては、茶筒を想像することができます。茶筒の蓋が閉まった状態で振り回しても、蓋が外れて中の茶葉が飛び出ることはありません。しかし、ゆっくりと力をかければ茶筒は簡単に開くことができます。パラレルテレスコープも同じ原理を利用しています。
パラレルテレスコープでは、内冠と外冠が完全に合致している必要があります。外冠がわずかでも収縮するとはめ込むことができなくなります。逆に外冠が膨張すると、摩擦力が減少し外れやすくなります。
また、内冠と外冠に使用される金属は使用中に変形や摩耗が起こる可能性があります。そのたびに修理や調整が必要となります。制作には高度な技術が必要であり、現在ではあまり使用されていません。
ただし、パラレルテレスコープのアイデアは、レジリエンツテレスコープなど他のタイプの入れ歯に応用されています。ドイツでは、パラレルテレスコープの内冠に放電加工を施し、外冠を保持するテレスコープも開発されています。
コーヌステレスコープ
コーヌステレスコープは、円錐形の内冠を使用する入れ歯のタイプです。内冠と外冠がぴったりと合う形状になっており、真空密着状態によって入れ歯を保持します。
パラレルテレスコープが茶筒に例えられるなら、コーヌステレスコープは紙コップに例えることができます。同じ形状のコップを重ねると、力を加えても簡単には外れません。コーヌステレスコープも同様に、ゼロフィッティングによる真空密着状態によって維持力を発揮します。
コーヌステレスコープの入れ歯を外す際には、指をかけて持ち上げます。コーヌス角と呼ばれる角度が、維持力と着脱のしやすさのバランスを保つために重要です。コーヌス角を調整することで、維持力や着脱のしやすさを調節することができます。
コーヌステレスコープは密着状態になることで維持力が発揮されますが、外す際には維持歯にかかる力は一瞬だけで、少しでも離れると余分な力がかかりません。この方式は歯に優しいものです。
さらに、コーヌステレスコープでは、土台となる歯は内冠で全体が覆われるため、虫歯のリスクが低くなります。そのため、日常的なメンテナンスも容易になります。
ただし、コーヌステレスコープの土台として使用できるのは、神経の抜かれていない歯のみです。また、残っている歯の位置によっては、土台として適切ではない場合もあります。
レジリエンツテレスコープ
レジリエンツテレスコープは、残っている歯が4本以下の場合に適用される入れ歯の一種です。
このタイプの入れ歯は、歯ではなく粘膜によって支えられるため、残っている歯にはほとんど負担がかかりません。そのため、歯を長持ちさせることができますし、歯周病などの歯の状態が悪い場合でも利用できます。
レジリエンツテレスコープの入れ歯は、粘膜の形に合わせた床の形状を持っています。内側には外冠が取り付けられていますが、歯に被せる内冠と外冠の間には微細な隙間が設けられています。これは、噛むたびに粘膜がわずかに沈み込むためです。
このタイプの入れ歯の大きな利点は、歯が抜けた箇所に自由に入れ歯を配置できることです。理想的な噛み合わせを実現するため、食事時の負担が軽減されます。
また、寝るときにも入れたままで問題ありませんので、口が乾くことが少なくなり、呼吸も楽になります。さらに、火事や地震などの緊急時にもそのまま避難できるため、被災後に入れ歯の心配をする必要がありません。
リーゲルテレスコープ
リーゲルテレスコープは、ドイツ語でかんぬきを意味し、その名の通り、入れ歯部分にかんぬきのようなレバーがついているテレスコープ式の入れ歯です。
コーヌステレスコープでは、残っている歯ごとに内冠をかぶせますが、リーゲルテレスコープでは、残っている歯を金属の棒でつないだような形の内冠をかぶせます。
入れ歯本体には小さなレバーがあり、はめ込んだ後にそのレバーを閉めることで、入れ歯がしっかりと固定されます。レバーは入れ歯にぴったりと合うように設計されており、閉めた後はほとんど目立ちません。
レバーは歯の内側に配置されているため、外部からは見えません。そのため、見た目にも違和感なく自然な印象を与えます。
リーゲルテレスコープの特徴として、内冠を小さくすることができることや、他のテレスコープに比べてさらに外れにくいことが挙げられます。また、残っている歯にかかる負担も少ないため、神経が抜かれている場合でも利用できます。
ただし、構造が複雑であるため、制作の難易度が高くなるという欠点もあります。リーゲルテレスコープの実習は歯科技工士の養成校でもほとんど行われていないです。
また、内冠の構造も複雑であり、入れ歯を取り外した際のメンテナンスに手間がかかるというデメリットもあります。
高額治療費に見合う価値のある
テレスコープ式入れ歯(義歯)の魅力
テレスコープ式入れ歯(義歯)の魅力について迫ります。
テレスコープ義歯(入れ歯)は、保険内診療で作られる入れ歯のデメリットを解消するために開発されました。正しい技術で作られたテレスコープ式の入れ歯は、優れた特徴を持っています。
まず、テレスコープ式の入れ歯はしっかりと固定されて外れにくく、硬いものでもしっかりと噛むことができます。入れ歯と歯肉が密着しているため、食事中に食べ物がはさまることもほとんどありません。また、残っている歯への負担も軽減され、違和感を最小限に抑えることができます。
テレスコープ式の入れ歯は、快適な日常生活を送ることができるため、ストレスを感じることが少ないです。さらに、見た目にも自然で違和感がないのが特徴です。
もちろん、テレスコープ式の入れ歯には高度な歯科技術とそれに伴う高額な治療費が必要ですが、その価値は計り知れません。快適な生活を続けることができる喜びは、お金では買えないものです。
テレスコープ式の入れ歯は適切なメンテナンスを行えば、一生涯使い続けることも可能です。お口の状態が変化しても、修理や調整を行って長く使用することができます。
ドイツのことわざにもあるように、お金に余裕がないからこそ、価値のあるものを手に入れて使い続ける選択肢を検討することは重要です。
テレスコープ式の入れ歯は、その優れた特徴によって快適で自然な生活をサポートしてくれます。ぜひ、テレスコープ式の入れ歯の魅力を感じていただき、お口の健康と生活の質を向上させる選択肢の一つとして考えてみてください。
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