入れ歯のかみ合わせ
入れ歯が痛い・噛めない・・・・
入れ歯のかみ合わせが悪いと、
普通に食事ができない・しゃべりにくい・見た目が悪い・・・と、
仕事でもプライベートでもストレスを感じ辛い思いをしていますよね?
そのままにしておくと、「毎日が不安でいっぱい」なんていうことになってしまいかねません。
入れ歯のかみ合わせが悪い原因
なぜ入れ歯のかみ合わせがうまくいかないのでしょうか?
かみ合わせの良い入れ歯(目的地)にたどり着くには、現在どのようなことが問題で噛めないのか(現在地)を把握し、どのような手段でどのような手順で治療するのか(戦略)を決定する必要があります。
あなたは、現在のかみ合わせの状態を知るために、歯型の模型をとって診断したことがありますか?
目的地を決めて、戦略を選択しても、現在地を正確に把握していなければ、遭難していまいます。
行き当たりばったりでは、どんどんバラバラになってしまいます。
歯の一本一本を一所懸命に治療することは、もちろん重要なのですが、歯の一本一本は、あごの関節を含めた咀嚼機能をつかさどるパーツの一つにすぎないわけです。
一本の歯をどれだけ一所懸命に治療するのか?と共に、そのような全体の機能をいかに調和させるのか?を考慮する必要があります。
だから、どれだけ一所懸命に歯の治療をしても、何度も入れ歯を作りなおしても、咀嚼機能全体のバランスを治療していなければ、噛めるようになりません。
現状を把握し、咀嚼機能全体のバランスを知るためには、レントゲン写真を撮ったり、様々な検査方法を駆使したりしてお口の中を診査していきます。
しかし、さらに重要なことは、お口の中も身体の一部、あごの関節の動きと歯の位置や形態の調和や身体の正中との関係性など、お口の中を覗いているだけではわからないことがたくさんあります。
そのため、歯型の模型を作り、頭(身体)の基準の記録をとって、かみ合わせを調べる器械にお口の中と顎の運動を再現し、現状を診査・診断していくことからスタートします。
治療方法
01総入れ歯
ドイツのコンセプトと日本の伝統の融合によって製作される【上下顎同時印象法によるシュトラックデンチャー】 。
02部分入れ歯
ドイツで130年の歴史を持ち、現在も広く用いられているドイツ式入れ歯【テレスコープシステム】
当院では
総入れ歯はドイツの概念と日本の伝統の融合、部分入れ歯はドイツ式入れ歯【テレスコープシステム】 を採用しています。 総入れ歯はシュトラックのコンセプトか?ギージーのコンセプトか?そして、そのコンセプトを具現化するためにどのような技術を用いるのか?を考慮しなければなりません。
01総入れ歯
フルオーダーをお勧めする理由
総入れ歯はその医院独自のものではなく歯科技工士へ外注されたものであることがほとんどです
なぜ当院が上下顎同時印象法によるシュトラックの総入れ歯(フルオーダー)をおすすめしているのか??
ドイツ・チュービンゲン大学のシュトラック教授は、総入れ歯を安定させるには
・お口の周囲の筋肉やお口の中の筋肉と調和した入れ歯のかたちにする必要がある。すなわち、筋肉が入れ歯を支えることで、総入れ歯を安定させることができる。
・総入れ歯の「歯」を並べる位置は、元々の歯が在った位置に並べるべきである。
ということを提唱しています。
当たり前じゃないの!? と、思うかもしれません。
ところが、日本で一般的に習う入れ歯は、ギージーのコンセプトです。スイスの歯科医師ギージーは、近代総義歯学の基礎を築き、大変素晴らしい業績を残しました。
しかし、ギージーの方法では、歯を失った骨のかたちに合わせて歯を並べる(歯槽頂間線法則)ため、元々の歯の位置ではない入れ歯になってしまいます。入れ歯の維持においても頬の筋肉のサポートが得られません。安定しない小さな総入れ歯で、筋肉のサポートがなく、入れ歯が口の中で踊っている。というケースが多く見受けられます。
シュトラックのコンセプトは、筋肉の圧のバランスがとれたところ、もともと歯があったところに人工歯を並べるため、筋肉のサポートによって入れ歯を安定させることができ、歯があったときと変わらない表情を再現することも可能となります。
それだけ素晴らしいコンセプトですが、長らく具現化させることができませんでした。
従来の型取りの方法では、肝心の筋肉を再現できなかったからです。
そこで、日本歯科大学の稲葉教授が、日本の伝統的な総入れ歯の技法を取り入れた型取りの方法を開発し、シュトラックのコンセプトに沿った総入れ歯を完成させました。
ドイツの概念を日本で実現させた稲葉教授の上下顎同時印象法は、筋肉のサポートによる安定が得られるようになると共に、総入れ歯のかみ合わせにも大きなメリットがあります。
歯科治療に共通する基本的な考え方として、顎が自然に閉じたい位置と歯の咬みたい位置をできるだけ一致させることが重要だということがあります。
なぜならここにズレが生じていると、あごの関節が不安定になり、さまざまな疾病・トラブル・不快症状が発生するためです。
現在、一般的な総入れ歯製作法は、上下を別々で型取りをして別々に製作し、最後に合わせようとします。しかし、もとが別々のものを一つに合わせるのは至難の業です。こうした入れ歯を使うことが、入れ歯の安定感を得られない要因にもなっています。こういった事実があるにも関わらずあまり認知がされていないのが現状です。
上下の型取りをひとかたまりで行い、あごの関節と調和したかみ合わせを天然歯の元々の位置に再現する総入れ歯を製作することで、入れ歯によるズレや歪みなく、上下の理想的な咬み心地でストレスのない入れ歯で過ごすことができます。
オーダーメイド入れ歯の作り方
顎が自然に閉じたい位置(中心位)と
歯の咬みたい位置(咬頭嵌合位)を
できるだけ一致させる
ここにズレが起きないようにするために当院では顎の咬みたい位置を把握するために、まわりの頬や唇まで一塊で口の中全体を型取りします。そして、それを二つに割るようにあごのかたちを模型に再現します そうすることで上あごと下あごの位置がお口の中と同じになります
こうするとでまた一つに戻し、しっかり嚙めるようになる入れ歯ができます。
また周囲軟組織のサポートを考慮した形態に仕上がり入れ歯が安定します。
他にもイボカップシステムやオーソシットなど、こだわりの技術とコンセプトを駆使することで、より良いかみ合わせの義歯を作製しています。
02部分入れ歯
テレスコープとは
当院で行うドイツ式入れ歯【テレスコープシステム】とは何か?
ドイツ式入れ歯【テレスコープシステム】とは、歯科先進国ドイツで伝統的に使われている部分入れ歯です。
ドイツは世界中でも入れ歯の技術がもっとも進んでいる歯科医療先進国です。
当院ではそのドイツで伝統的に使われている、「テレスコープシステム」という部分入れ歯を推奨しています。
テレスコープシステムでは、日本で一般的な歯に引っ掛けるバネを使いません。
テレスコープシステムは、二重冠構造のハメ込み式の装置を使うタイプの入れ歯のことです。この部分入れ歯は、質の高さや長持ちする治療を求めるドイツで生まれたため、基本的には一度作ったら作り直すことは少なく、年を経るごとの口の中の変化に合わせて修理しながらずっと快適に使用することができます。
日本では最新の部分入れ歯であるドイツ式のこの部分入れ歯ですが、固いパンや肉を好む国民性のドイツでは100年以上の長年に渡る改良と進化が重ねられてきました。
ドイツでは特定の歯に負担をかけることなく入れ歯を固定できる、非常に精密で歴史のある入れ歯として今でも広く活用されていて好評です。
従来のバネを使った部分入れ歯のとは
部分的な入れ歯で、日本で現在多く使われているのは、失われた歯の両側に残る健康な歯にバネの金具をかけて止めるバネ式の入れ歯です。
この入れ歯は健康保険が適用になるので、日本では多くの方に利用されています。
ところが歯科先進国であるドイツでは、このバネ式の部分入れ歯は「歯には良くない」「古い方法」とされています。
なぜならば、バネ式の入れ歯は歯に横揺れを起こすため、長期間利用していると健康な歯にも負担がかかり、残っている歯も抜けてしまう作用を引き起こすからです。
日本で一般的なばね式の入れ歯は、安い、ということがメリットかもしれませんが、しっかりと噛めるようになることは珍しく、残っている大切な歯にダメージを与え続けて、歯を失うたびに最初から作りなおしをしなければならない。そしてまた次の大切な歯を揺らしてダメにしてしまう。という悪循環になっていることがほとんどです。
テレスコープのメリット
- 食事中や会話中に外れてしまう危険がない
- レバー式の入れ歯で取り外しが非常に楽にできる
- 違和感がなく、快適な装着感で夜寝る時も外す必要がない
- 歯の内側で固定できる方式のため、固定効果で歯への負担が非常に少ない
- 交換が必要な従来の部分入れ歯に対して、修理しながら長期間でも使用が可能
- この部分入れ歯は歯列が非常に美しく見えるので審美的にも大変優れている
テレスコープの種類
テレスコープには主に3つ
「リーゲルテレスコープ」と
「レジリエンツテレスコープ」と
「コーヌステレスコープ」
という方法があります
各入れ歯にはそれぞれ特徴があり、患者さまのお口の中の状態に合わせて使い分けることで、どのような歯の無くなり方をしていても対応することが可能です。
1. レバーの開閉により義歯を固定させるリーゲルテレスコープ
リーゲルとは、ドイツ語で『閂(かんぬき)』を意味します。リーゲルテレスコープ義歯は、かんぬきを使って入れ歯に『鍵(カギ)』をかけてしまいます。
土台に使う歯には鍵穴のついた冠をかぶせます。入れ歯には、かんぬきの鍵となるレバーが組み込まれています。小さな鍵のレバーを開け閉めすることで、入れ歯を歯に固定したり、歯から取り外したりします。
義歯と歯に鍵を掛けて、がっちりとロックしてしまいます。まったく入れ歯が動かないので、しっかりと強く噛むことができます。
それでいて、鍵を開けると何の抵抗感もなく、スッと取り外しすることができます。そのため、入れ歯の出し入れの時、歯には一切無理な力やダメージを与えません。
メンテナンスをきちんと行うことにより20年以上使い続けることができ、長期的に見れば低コストの入れ歯といえます。
自分自身の歯に装着する「かんぬきの鍵穴」がある状態
装着してかんぬきのレバーが開いた状態
レバーを閉じた状態。二十冠で歯を守り、入れ歯だと気づかれにくい
2.残っている歯はそのままに、粘膜で支えるレジリエンツテレスコープ
残りの自分の歯が一本や二本になってしまって総義歯一歩手前だったとしても、さらには、「もう入れ歯の支えに使うには歯の状態が悪いから、歯を抜いて総入れ歯にしましょう」と言われてしまった場合でも、自分の歯を使って入れ歯を安定させることができる。それがレジリエンツテレスコープ義歯です。
入れ歯が安定しない理由の一つに「入れ歯は横方向からの力に弱い」ということがあります。横ずれを起こすと外れやすくなったり、粘膜がこすれて痛くなったりしてしまいます。
レジリエンツテレスコープ義歯は、総義歯に近い状態でも、自分の歯を利用することによって、入れ歯の横ずれを防止して、安定させます。
大事な残り少ない歯でも、かなり頼りなくなってしまった歯でも、最大限に活用して、外れにくく、痛くならないで、しっかり噛める、ドイツ式の入れ歯です。
自分自身の歯に装着する軸面がパラレルになっている
義歯の内側。装着側と同じ形の金属冠が義歯に組み込まれている
義歯の外側。即ない歯でも義歯の安定に大いに役立つ
3.残っている歯の上から入れ歯を装着する方法コーヌステレスコープ
同じかたちの紙コップをふたつ重ねたら、逆さまにして振っても外れません。大量生産品ではない、茶筒職人が製作した伝統的に使用されてきた密閉性の高い金属製茶筒をイメージしてください。摩擦力ではない気密性の高さ・真空密着状態で、外れにくい安定した状態にするのがコーヌステレスコープ義歯です。
自分の歯に金属冠をかぶせ、その上から歯にかぶせた金属冠と全く同じ形をした入れ歯をはめ込みます。土台となる歯を入れ歯の内側の冠で覆うことで、入れ歯が土台の歯を固定して守り、バネ式のように外側から金属や金具が見えないため、見た目も気になりません。
歯を固定するようにしっかりとおさまって安定するので、しっかりと噛めるようになります。清掃性が高く、メンテナンスしやすいことも特徴です。
ただし、土台に使う歯は、かなり状態の良い歯を選んで使う必要があります。力のバランスを考慮した入れ歯の設計や入れ歯の出し入れの力のコントロールなど、熟練の知識と技術が必要です。
装着前
装着後
装着前
装着後
装着前
装着後
ドイツではもちろん今でも当たり前に使用される入れ歯ですが、日本では過去に苦い経験があります。実は、日本でも80年代に一度、コーヌスクローネ(コーヌステレスコープ)ブームがありました。
しかし、当時、
・ドイツで行われている製作方法とはかけ離れた、似て非なる製作方法で広まってしまったこと。
・ドイツではコーヌスもテレスコープシステムの一部にすぎず、適応症や禁忌症があり、入れ歯の設計や土台に使う歯の選別が重要なのですが、日本にはコーヌスしか伝わらず、他のテレスコープを知らなかったために何でもかんでもコーヌスにしてしまったこと。
などによって、上手くいかないケースが続出してしまい、苦い経験として一過性のブームで衰退してしまった経緯があります。
本来の『テレスコープシステム』は、適応症や設計を考慮し、それぞれ使い分けることによって、長期間にわたって快適に噛めるようになります。
かみ合わせが悪いと残っている歯もどんどんなくなっていってしまいます。
お口の大事な歯をこれ以上失わないためにも正しいかみ合わせの義歯をおすすめいたします。
かみ合わせの状態に合わせて適した治療を行い、入れ歯によるストレスのない生活を送りましょう